2023年度【令和5年】版の二級建築士になるための6つのステップをご紹介します。
令和5年も受験受付は原則としてインターネット申込のみです。また令和2年から建築士法が改正されています。詳細は過去記事を参照ください。
それでは、さっそくはじめていきます!完全なるペーパー二級建築士(実務経験がない)ではありますが、その豊富な受験経験を(大きなお世話ながら)初学者の方にお伝えしたいと思います。
良い反面教師になると思いますので、その受験歴や経緯・想いは下記の記事を参照ください。
実際に二級建築士になるには、どうしたらよいのでしょうか。二級建築士の資格取得の流れを説明していきます。
二級建築士になるには?資格取得するまでの流れ
とても簡単にまとめると3段階の行程があります。大事なのは全体感をつかむことです。まずは余計な部分を削ぎ落としてみました。
- 受験:二級建築士の資格を得て申込・受験します。
- 合格;学科と製図の試験に合格する必要があります。
- 登録:都道府県知事の許可(免許)を得て登録。
当たり前ではありますが、まがりなりにも国家資格。合格するまで大変な行程というのは、言うまでもありません。
二級建築士になるためにはまず全体感を知ろう
初めにやるべきことは二級建築士になるための全体感を理解・認識することです。それがあやふやだと、方向性を誤りスタートからつまづいてしまいます。
とくに初学者の方は知識や経験値がないため、いわば何も知らない赤ちゃんの状態です。全体感を把握することは経験値の豊かな大人、つまり<二級建築士>になるための最初の一歩なのです。
二級建築士になるまでの流れ
二級建築士になるには都道府県知事の許可(免許)が必要です。その免許を得るには、都道府県知事の指定機関が開催する試験に合格しなければなりません。
その機関が公益財団法人 建築技術教育普及センターです。建築技術教育普及センターのWebページに建築士の資格取得までの流れ(行程)が掲載されています。一般的な取得方法はこれ以外にはありません。
1年に1度しか実施されない建築士試験に、合格して登録するのが二級建築士になる最短ルートです。
建築士の種別により許可する行政が違う
建築士には一級と二級の区分けがあり、実は登録する際の行政機関が違います。
- 一級建築士・・・国道交通大臣
- 二級建築士・・・都道府県知事
二級建築士の免許を交付してくれるのは都道府県知事で、一級建築士の免許は国土交通大臣です。
同じ建築士の資格のはずですが、管轄する行政が違うというのは不思議ですね(素人考えですみません)もちろん理由があるのでしょうけれど、二級建築士の格下感が半端ないと感じるのは私だけでしょうか…
建築士の制度全般については、上記の建築技術教育普及センターのWebページで確認できます。二級建築士だけでなく、一級建築士を含め建築士全般についての概要が記載されています。
二級建築士関連の情報サイトについて
知らない方は要チェックです!建築技術教育普及センターの公式ホームページは試験の前後になると頻繁に更新されています。
建築士やインテリアプランナーになるのにかかせない情報を発信しているWebサイトで、専門ジャンルとして二級建築士の資格試験のページがあります。
- 建築技術教育普及センター:二級建築士のトップページ
ブックマークをして、いつでも確認できるようにしておきましょう。
資格取得までの6つのステップ
先ほどは概要として3段階にして簡略的に説明しました。次にその3段階を6つのステップに分けて説明していきます。
二級建築士になるためのステップは全部で6つあります。中でも下記のステップ2<学科試験>とステップ4<設計製図試験>は難関です。
その分やりがいや攻略のしがいがあり、合格した時の喜びは天にも昇る気持ちです(経験者は語る)ステップ3と5の合格発表や、最後のステップ6の免許登録は確認や登録作業ではありますが、流れをおさえる意味で入れています。
さすがに国家資格・試験だけあり、そう簡単に合格させてはくれません。さっそく見ていきましょう。
STEP.1:受験申込の受付
二級建築士の試験には受験資格が必要です。受験するために要求される資格の要件は厳しく、非常に専門的です。その資格要件をクリアして、初めて受験が可能になります。
1〜3は申し込みの段取りとなり、すべて大事な項目です。4〜5は申し込みに際して注意すべきポイントや受験票の取り扱いです。
1|試験の日程・案内を確認する
2月末頃に二級建築士の試験日程と試験案内が、建築技術教育普及センターのWebページから順次、発表されます。日程や試験の概要がわかりますので、しっかり確認していきましょう。
2|自分の資格要件を確認しよう
二級建築士の試験を受けるには受験資格が必要です。その資格要件が認められないと受験することができません。
受験資格は<学歴要件>と<実務経験要件>の組み合わせで決まります。学歴として要件を満たしていなくても、実務経験で補えます。逆に実務経験が少なくても、学歴があれば受験資格が補えるようになっています。
注意すべきはその要件とされている学歴や実務の内容です。近年では、虚偽の経歴による不正な申し込みを防ぐため、必要な学歴や実務経験が細かく厳密に指定されたようです。
ここをおろそかにすると、それまでの計画や勉強が無駄になってしまいますので、しっかりと確認していきましょう。
受験資格を確認するには建築技術教育普及センターのWebページを確認します。一番わかりやすいのが試験案内ページです。現時点ではこちらを確認してください。
4月上旬に行われる受験申込の受付場所で<初めて受験される人は>受験資格が要件を満たしているか確定します。その時に受験資格がない・資格要件が不適格と申し込みが不受理とされてしまってはシャレになりません。
一番良いのは公益財団法人 建築技術教育普及センターへの電話でのお問い合わせです。直接電話にて資格濃霧を問い合わせしましょう。メールでのお問い合わせは無いようです。
その他にヤフー知恵袋などにも質問や相談がされています。近くに相談できる人がいない場合は、下記を参考にしてみてください。
詳細はこちら:ヤフー知恵袋「二級建築士 受験資格」での検索結果
もしくはおっさん*クエストまでお問い合わせいただいても構いませんw
\お気軽にご連絡ください/
3|必要書類を準備して申し込む
学歴や実務・資格の状況によって申し込み方法が異なるので要注意です!
申し込み方法が受験資格区分によって、4つの入り口に分かれています。初学者で自分がどこに区分されるのか、確認して申し込みしましょう。
4|受験申込で注意するポイント
コロナの影響から令和3年以降、二級建築士の受験申込みは原則としてインターネット受付のみとなりました。受験生はこのインターネットによる受付の申込手順と注意事項は熟読です。
そして何より重要なのが、インターネットによる受付期間です。期日までにはかならず間に合わせましょう!
申込手順の流れは下記リンクからPDFで確認できます。
①インターネットで申込と、②必要書類の郵送という2セットが必要です。
また令和2年まであった申込書の配布もインターネット受付だけになったことにより、原則は行わないと明言。
インターネットによる受付が原則のため受験申込書の配布は行いません。
参考サイト:二級・木造建築士試験Q&A
ただし、インターネットによる受験申込が行えない正当な理由がある場合は(身体に障がいがありインターネットの利用が困難である場合等)別途受付の方法をご案内いたしますので、お手数ですが令和◯年◯月◯日(◯曜)までにセンター本部までお問い合わせ下さい。
過去の受験票などを紛失してしまった場合
過去の受験票、合否通知書を紛失した方で、受験番号が不明の場合、外部サイトへリンク 新規ウインドウで開きます。過去の受験番号照会(外部サイト)により必要事項を入力し、事前に過去の受験番号を確認してください。
ただし、過去の受験番号照会が可能な方は、一級建築士試験は平成15年以降、二級・木造建築士試験は平成16年以降の受験申込を行っている方です。
また、インターネットによる受験申込で「過去受験者の受験申込」からの申込は、個人情報の使用について予め「承諾」している方が対象です。
参考サイト:過去の受験票、通知書を紛失された方
過去の受験票(原本)、合否の通知書(原本)を紛失した方は過去の受験票、通知書を紛失された方で確認してください。過去の受験番号が照会できるようになっています。
ただし、過去の受験番号照会が可能な方は、二級・木造建築士試験は平成16年以降の受験申込を行っている方が対象のようです。くれぐれも紛失しないよう保管しましょう。
学科試験免除の猶予措置
学科試験に合格すると次回の学科試験が免除されるという猶予措置があります。
受験票の交付について
令和3年から受験票はダウンロードでの交付となりました。
デジタルデータなので紛失してもまた印刷ができますねw また受験票が届かないというトラブルも無くなりそうです
受験票が交付される目安
この受験票は試験の際にあなたのID(証明書)になります。最後まで必要なものなので、しっかりと保管・管理してください。
受験票が交付されて、ようやく申し込みが一段落したといえます。今までは受験資格があるかさえ未確定でしたが、これで安心して受験に臨むことができます。
「受験の申し込み」といえば聞こえは軽いイメージですが、見方を変えれば受験資格の選考試験です。受験票の交付は、受験資格があるという証明でもあり、学校での勉強や建築業界で働いてきた成果でもあります。
ここからが二級建築士試験の本当のスタート地点です。
STEP.2:学科の試験
いよいよ二つ目のステップにして、最難関とも言える(自分がそうでした)学科試験です。専門家として設計や建築に関わる知識を問われます。建築法令集の持ち込みができるのは学科試験の特徴の一つです。
1|出題科目:全部で4つの専門学科
二級建築士の学科試験での出題科目は「計画」「法規」「構造」「施工」の4学科です。それぞれの特徴を二文字づつで、うまくあらわしています。
- 学科 I:<建築 計画>設計するために必要な計画の知識
- 学科 II:<建築 法規>知らないと設計できない法律
- 学科III:<建築 構造>設計や建築で重要な構造の知識
- 学科IV:<建築 施工>建築時に必要な施工の知識
2|出題形式:五肢択一 マークシート
問題は1学科につき25問、五肢択一です。時間が限られていますので、筆記用具や時間配分、休憩時間の使い方などにも工夫が必要です。
3|学科試験の日時や内容
学科試験は夏、7月の第一週目の日曜になります。その日曜が7月1日の場合は少し損した気分になるのは自分だけでしょうか。。。(少しでも長く勉強したいという気持ちからです)
朝の9時から始まり、一気に2科目を3時間×2回の試験です。途中で休憩1時間をはさみます。試験時間としては合計で約6時間30分となり夕方の17時まで続きます。下記は令和5年の内容です。
試験日 | 内容 | 時間帯 | 試験時間 |
---|---|---|---|
7月2日(日) | 注意事項の説明 | 9時45分〜10時10分 | 25分 |
学科I<計画> 学科II<法規> | 10時10分〜13時10分 | 3時間 | |
昼休み<休憩> | 13時10分〜14時10分 | 1時間 | |
注意事項の説明 | 14時10分〜14時20分 | 10分 | |
学科III<構造> 学科IV<施工> | 14時20分〜17時20分 | 3時間 |
1つの学科につき1時間30分(90分)の解答時間です。問題を解くのにも体力が必要というのがわかるかと思います。
4|学科試験の携行品:法令集の持ち込みOK
学科試験当日の携行品が指定されています。1は必ず持っていくもの、2は持ち込みが可能なので選択できます。3は持ち込んではいけないものですのでご注意ください。
- 必ず携行するもの:受験票、黒鉛筆、消しゴム
- 携行できるもの:法令集、鉛筆ケズリ
- 携行できないもの:電卓、計算尺、電動消しゴム、筆記用具等収納ケースなど
えーーー筆記用具収納ケース駄目になったの!?
何か不正問題があったのでしょうか。製図試験ではなく学科試験でのこの措置は少し手厳しいのでは?
令和5年より収納道具がNGに
筆記用具等収納ケースの例示はこちらをクリック
学科試験でペンケースくらいは良いのでは?と思ってしまいますが、机の上にあったら不正行為とみなされ退場になります。カバンの中に入れれば大丈夫なので、試験時間中はしまいましょう。
法令集の持ち込みができます
学科IIの建築法規の特徴として、法令集の持ち込みと使用が可能です。それを知った時は法規は楽勝かも!?と喜びましたが、実際にやってみるとそう甘くはありませんでした。
持ち込みできる法令集には制限があります。見出しや簡単な書込みは大丈夫ですが、試験監督の方に取り上げられないようにする必要があります。
5|学科試験のまとめ
学科試験の概要は理解できたでしょうか。学科試験の勉強時間の目安は6ヶ月から1年、とても早い人で3ヶ月とも言われています。
問題を解き正解を導くのは、最初は困難で苦痛を伴います。ですが二級建築士なら知っていて当然の知識ということでの試験問題です。ここを乗り越え(合格して)製図試験に進みましょう。
今までお伝えしてきた下記の4項目は理解できましたか? 疑問点があれば、このページに戻って復習してみてください。
STEP.3:学科試験の合格発表
受験者には合否の判定結果が通知されます。※不合格者には試験の成績も通知。
- 学科試験の合格発表:例年8月下旬ごろ<令和5年は8月21日(月)予定>
- 合格者の掲示:都道府県建築士会の事務所など
- 合格者の掲載:建築技術教育普及センターのホームページ
STEP.4:設計製図の試験
この二次試験<設計製図>は他の試験と比べて非常に特殊です。課題から要求される内容を試験会場で設計し、製図板と平行定規を使用して製図していきます。
1|設計製図の課題について
製図の課題は毎年6月上旬に発表されます。課題の建築物の構造条件<木造か鉄筋コンクリート造または鉄骨造>が年度により変わります。
2|設計製図試験の日時や内容
8月にあった学科試験の合格発表から、1ヶ月もたたずに製図試験が行われます。当日は15分間の注意事項説明の後、5時間で製図用紙を仕上げなければいけません。下記は令和4年の内容です。
試験日 | 内容 | 時間帯 | 試験時間 |
---|---|---|---|
9月10日(日) | 注意事項の説明 | 10時45分〜11時 | 15分 |
設計製図の試験 | 11時 〜 16時 | 5時間 |
要求課題に対して、設計(エスキス)と製図(製図板や平行定規を使用)をしていきます。
まさにここが正念場です!
時間内に製図用紙を、合格レベルまでに仕上げていきます。頭も体力も使いますので、終わった時の疲労度は凄まじいものがあり、燃え尽きて真っ白になる感じですw
3|設計製図試験の携行品
製図試験当日の携行品が指定されています。製図板や平行定規、電卓の使用が認められているなど、本当に特殊です。学科試験以上に持ち物には注意が必要です。忘れ物や仕様の勘違いは絶対にできません。
- 必ず携行するもの:受験票、黒鉛筆、消しゴム
- 携行できるもの:製図板、各種定規、コンパス、ハケ、電卓など
- 携行できないもの:ドラフター、ソロバン、電動消しゴムなど
4|設計製図の試験まとめ
製図試験の勉強時間の目安は3ヶ月から6ヶ月(早い人は1ヶ月)とも言われています。
製図という手書き作業が初めての人は、初期の製図には非常に時間がかかります。慣れの問題でもありますので、短期間で合格ラインの作図を書けるようにするのがゴールです。下記の記事を参照ください。
製図試験についての下記3項目は理解できましたか? 不明点があれば、このページに戻って復習してみてください。
STEP.5:設計製図試験の合格発表
いよいよ合格発表です。合格発表での番号があった時の喜びは、何ものにも代えがたいでしょう。あなたの努力が身を結んだ瞬間です。このステップを突破すれば、後は登録するだけです。
すごいドキドキしますから!わたしは合格がわかった時に泣いてしまいましたw
- 設計製図試験の合格発表:12月初旬ごろ<令和5年は12月7日(木)予定>
- 合格者の掲示:都道府県建築士会の事務所など
- 合格者の掲載:建築技術教育普及センターのホームページ
試験問題や合否判定基準等の公表について
試験問題は<学科や製図試験を問わず>持ち帰ることができます。ただ途中で退出した場合は持ち帰ることができません。
また試験問題は試験日の翌日に、合格基準点や試験データ等は合格発表の際に公表されます。
STEP.6:建築士免許の登録
二級建築士の合格後に免許を登録すれば二級建築士です。いよいよ二級建築士になるための最後のステップです。
お疲れ様でしたw
免許登録の申請をするのは、合格した地域の建築士会です。建築技術教育普及センターでそのまま登録ではありません。試験と登録では管轄が違うようです。
二級建築士の資格取得に向けて
長い文章をここまでお読みいただき、本当にありがとうございます。ザックリとでも理解はできたでしょうか。冒頭でお伝えしたように大事なのは全体感です。少しづづでも良いので、全体感の理解とその精度を高めていきましょう。
試験を受けようとしているあなたへ
初学者の方や二級建築士になりたい人に向け短い時間で全体感が理解できるよう、要点を押さえたつもりですが、かなり長くなってしまいました。
二級建築士になるためにはどうしたらよいか?わからなくなったら、またこのWebサイトやページに戻って来ていただけたら幸いです。
試験を受けるか迷っているあなたへ
この資格取得にはかなりの準備と勉強が必要だというのがわかったと思います。でも二級建築士の試験は資格要件さえクリアすれば、国家試験として難易度は決して高くありません(断言!)たしかに試験の専門性は非常に高いです。でも試験課題とはいえ、手書きで製図するのは本当に楽しいです。
人が生活していく上で必要なことを「衣・食・住」といいますが、その一つである「住」を設計できる二級建築士という国家資格。あきらめるのは簡単ですが、少しでもチャンスがあるなら、ぜひチャレンジしてみてください。
最後までご覧いただき、まことにありがとうございました。
この記事は建築士経験のない素人(ペーパー二級建築士)が作成しているため、下記のような点にお気づきの際は、お問い合わせやコメントをいただけると助かります。
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