[note title=”注目!”]この記事は2019年度版の二級建築士受験をする初学者の方のために書いた記事です。文言やリンク先はそのままにしており(ワザとです)内容が古くリンク切れしている場合がありますのでご注意ください。[/note]
最新【2020年度版】は下記の記事よりご確認ください。
Web担当ですが、まったく業務と関係のない二級建築士の資格を持っているこまおです!
完全なるペーパー二級建築士(実務経験がない)ではありますが、その豊富な受験経験を(大きなお世話ながら)初学者の方にお伝えしたいと思います。
この記事での「初学者」とは、初めて二級建築士を受験しようとしている人のこと。経験値が少ない、これから二級建築士の勉強をする人のことを定義しています。
良い反面教師になると思いますので、その受験歴や経緯・思いは下記の記事を参照ください。
実際に二級建築士になるには、どうしたらよいのでしょうか。二級建築士の資格取得の流れをわかりやすく説明していきます。
二級建築士になるための3段階
とても簡単にまとめると3段階の行程があります。大事なのは全体感をつかむことです。まずは余計な部分を削ぎ落としてみました。
受験資格が必要です。ハードルとしては低くはありません。受験ができるか・できないか命運がわかれます。
学力試験と製図試験にそれぞれ合格することが必要です。この試験こそが建築士受験の真髄と言えます。
単純に作業ではありますが、二級建築士として登録すれば免許が発行され、業務ができるようになります。
当たり前ではありますが、まがりなりにも国家資格。合格するまで大変な行程というのは、言うまでもありません。
二級建築士になるために全体感を知ろう
初めにやるべきことは二級建築士になるための全体感を理解・認識することです。それがあやふやだと、方向性を誤りスタートからつまづいてしまいます。
とくに初学者の方は知識や経験値がないため、いわば何も知らない赤ちゃんの状態です。全体感を把握することは経験値の豊かな大人、つまり<二級建築士>になるための最初の一歩なのです。
二級建築士になるまでの流れ
二級建築士になるには都道府県知事の許可(免許)が必要です。その免許を得るには、都道府県知事の指定機関が開催する試験に合格しなければなりません。
その機関が公益財団法人 建築技術教育普及センターです。
資格取得までの流れがわかるフローチャート
建築技術教育普及センターのWebページに建築士の資格取得までの流れ(行程)が掲載されています。一般的な取得方法はこれ以外にはありません。
1年に1度しか実施されない建築士試験に、合格して登録するのが二級建築士になる最短ルートです。
建築士により許可する行政が違う
建築士には一級と二級の区分けがあり、実は登録する際の行政機関が違います。
- 一級建築士・・・国道交通大臣
- 二級建築士・・・都道府県知事
二級建築士の免許を交付してくれるのは都道府県知事で、一級建築士の免許は国土交通大臣です。
同じ建築士の資格のはずですが、管轄する行政が違うというのは不思議ですね(素人考えですみません)もちろん理由があるのでしょうけれど、二級建築士の格下感が半端ないと感じるのは私だけでしょうか…
建築士の制度全般については、上記の建築技術教育普及センターのWebページで確認できます。二級建築士だけでなく、一級建築士を含め建築士全般についての概要が記載されています。
二級建築士関連の情報サイトについて
知らない方は要チェックです!建築技術教育普及センターの公式ホームページは試験の前後になると頻繁に更新されています。
建築技術教育普及センターの公式ホームページにある二級建築士の専用カテゴリーサイト
建築士やインテリアプランナーになるのにかかせない情報を発信しているWebサイトで、専門ジャンルとして二級建築士の資格試験のページがあります。
- 建築技術教育普及センター:二級建築士のトップページ
ブックマークをして、いつでも確認できるようにしておきましょう。
資格取得までの6つのステップ
先ほどは概要として3段階にして簡略的に説明しました。次にその3段階を6つのステップに分けて説明していきます。
二級建築士になるためのステップは全部で6つあります。
中でも下記のステップ2<学科試験>とステップ4<設計製図試験>は難関です。
その分やりがいや攻略のしがいがあり、合格した時の喜びは天にも昇る気持ちです(経験者は語る)
ステップ3と5の合格発表や、最後のステップ6の免許登録は確認や登録作業ではありますが、流れをおさえる意味で入れています。
さすがに国家資格・国家試験だけあり、そう簡単に合格させてはくれません。さっそく見ていきましょう。
STEP.1:受験申込の受付
二級建築士の試験には受験資格が必要です。受験するために要求される資格の要件は厳しく、非常に専門的です。その資格要件をクリアして、初めて受験が可能になります。
1〜3は申し込みの段取りとなり、すべて大事な項目です。4〜5は申し込みに際して注意すべきポイントや受験票の取り扱いです。
試験の日程・案内を確認する
2月末頃に二級建築士の試験日程と試験案内が、建築技術教育普及センターのWebページから順次、発表されます。日程や試験の概要がわかりますので、しっかり確認していきましょう。
自分の資格要件を確認しよう
二級建築士の試験を受けるには受験資格が必要です。その資格要件が認められないと受験することができません。
受験資格は<学歴要件>と<実務経験要件>の組み合わせで決まります。学歴として要件を満たしていなくても、実務経験で補えます。逆に実務経験が少なくても、学歴があれば受験資格が補えるようになっています。
注意すべきはその要件とされている学歴や実務の内容です。近年では、虚偽の経歴による不正な申し込みを防ぐため、必要な学歴や実務経験が細かく厳密に指定されたようです。
ここをおろそかにすると、それまでの計画や勉強が無駄になってしまいますので、しっかりと確認していきましょう。
自分の受験資格を調べてみる
受験資格を確認するには建築技術教育普及センターのWebページを確認します。一番わかりやすいのが試験案内ページです。現時点ではこちらを確認してください。
詳細はこちら:二級建築士の受験資格
自分には受験資格があるか不安が残る場合
4月上旬に行われる受験申込の受付場所で<初めて受験される人は>受験資格が要件を満たしているか確定します。
その時に受験資格がない・資格要件が不適格と申し込みが不受理とされてしまってはシャレになりません。
一番良いのは公益財団法人 建築技術教育普及センターへの電話でのお問い合わせです。メールでのお問い合わせは無いようです。
その他にヤフー知恵袋などにも質問や相談がされています。近くに相談できる人がいない場合は、下記を参考にしてみてください。
詳細はこちら:ヤフー知恵袋「二級建築士 受験資格」での検索結果
必要書類を準備して申し込む
- 受験申込書
- 振替払込受付証明書
- 写真
- 指定科目修得単位証明書・卒業証明書
- 実務経歴書・実務経歴証明書
申し込みに際しての必要書類を用意します。1〜3は必ず提出しなければなりません。ちなみに2は受験料(高すぎない?)です。4と5は資格要件によって変わります。
詳細はこちら:初めての受験申込に必要な書類
受験の申し込みで注意するポイント
申し込みには、申込書の「配布」と「受付」があります。受験申込書の配布と受付では期間が異なり、方法も複数あるため、初めて受験される方は混乱するかもしれません。
複数ある方法の中で、自分は何を選択するのかを決め、内容や期日を忘れないようにしましょう。
特に初学者で初受験の方(新規受験者)は、2回目以降の受験者の方と受付が違うので要注意!
郵送または受付場所における受験申込
受験申込書の配布
まずは申込書を手に入れます。その方法は「郵送での配送」か「受付窓口での配布」の二択です。
それぞれの配布期間は同じ3月上旬ですが、郵送の場合は請求期間が事前にあるため注意が必要です。
下記は平成31年の内容です。
- 郵送での配布期間:平成31年4月1日(月) 〜 4月15日(月)
- 窓口での配布期間:平成31年4月18日(木) 〜 4月22日(月)
ここはあくまで受験申込書の配布ですのでご注意ください。
【新規受験者の場合】受験申込書の受付
新規受験者の方は、受験申し込み書の受付方法が下記の一択となっています。
- 住所地の都道府県建築士会が指定する場所:受験申込書受付会場
【過去受験者の場合】受験申込書の受付
過去受験者の方は、受験申し込み書の受付方法が下記の三択となっています。
ただし受付期間がそれぞれ微妙に異なるため注意が必要です。
- インターネットでの受付
- 郵送での受付
- 受付場所における受付
申し込みについては下記を確認し、ヌケやモレのない申し込みをしていきましょう。
詳細はこちら:過去の受験票(原本)、合否の通知書(原本)をお持ちの方
過去の受験票などを紛失してしまった場合
過去の受験票(原本)、合否の通知書(原本)を紛失した方はこちらで確認してください。再発行はしていません。紛失しないようにしたいですね。
申し込みの簡略化や学科試験の猶予措置
初受験(新規受験)の方には関係がありませんが、2回目以降に受験する場合の優遇措置があります。
高い受験料を支払っているので当然の権利と言えるでしょう。(何度も受験したくはありませんが)
一度受験すると、次回からの申し込みはインターネット経由で簡略化が可能です。
また学科試験に合格すると次回の学科試験が免除されるという猶予措置もあります。
受験票の配送について
受験票はまだもらえない
資格があるとみなされ、申し込みが受理されても、ここで安心してはいけません。受験票はすぐにもらえず後送されます。
受付窓口では受験申込書受付票が発行されますので、紛失しないようにしてください。
受験票が発送される目安
6月上旬に発送されます。6月末までに届かない場合は建築技術教育普及センターに確認をしてください。
7月の最初の日曜が試験日のため、6月下旬になったら…と言わず早めに催促しましょう。
受験票が届かない場合はどうすれば良いのか
6月末までに届かない場合は、建築技術教育普及センター本部(業務第一課)【電話:03-6261-3310】に必ずご連絡下さいとのことです。受験申込書受付票を用意して電話してください。
この受験票は試験の際にあなたのID(証明書)になります。最後まで必要なものなので、しっかりと保管・管理してください。
受験票が届いて、ようやく申し込みが一段落したといえます。今までは受験資格があるかさえ未確定でしたが、これで安心して受験に臨むことができます。
「受験の申し込み」といえば聞こえは軽いイメージですが、見方を変えれば受験資格の選考試験です。受験票が届くということは、受験資格があるという証明でもあり、学校での勉強や建築業界で働いてきた成果でもあります。
そして、ここからが二級建築士になるための本当のスタート地点です。
STEP.2:学科の試験
いよいよ二つ目のステップにして、最難関とも言える(自分がそうでした)学科試験です。専門家として設計や建築に関わる知識を問われます。建築法令集の持ち込みができるのは学科試験の特徴の一つです。
出題科目:全部で4つの専門学科
二級建築士の学科試験での出題科目は「計画」「法規」「構造」「施工」の4学科です。それぞれの特徴を二文字づつで、うまくあらわしています。
- 学科 I:建築 計画>設計するために必要な計画の知識
- 学科 II:建築 法規>知らないと設計できない法律
- 学科III:建築 構造>設計や建築で重要な構造の知識
- 学科IV:建築 施工>建築時に必要な施工の知識
出題形式:五肢択一 マークシート
問題は1学科につき25問、五肢択一です。時間が限られていますので、筆記用具や時間配分、休憩時間の使い方などにも工夫が必要です。
学科試験の日時や内容
学科試験は夏、7月の第一週目の日曜になります。その日曜が7月1日の場合は少し損した気分になるのは自分だけでしょうか。。。(少しでも長く勉強したいという気持ちからです)
朝の9時から始まり、一気に2科目を3時間×2回の試験です。途中で休憩1時間をはさみます。試験時間としては合計で約6時間30分となり夕方の17時まで続きます。下記は平成30年の内容です。
試験日 | 内容 | 時間帯 | 試験時間 |
---|---|---|---|
7月7日(日) | 注意事項の説明 | 9時45分〜10時 | 15分 |
学科I<計画> 学科II<法規> | 10時〜13時 | 3時間 | |
昼休み<休憩> | 13時〜14時 | 1時間 | |
注意事項の説明 | 14時〜14時10分 | 10分 | |
学科III<構造> 学科IV<施工> | 14時10分〜17時10分 | 3時間 |
詳細はこちら:出題科目、出題数等<平成31年>
1つの学科につき1時間30分(90分)の解答時間です。問題を解くのにも体力が必要というのがわかるかと思います。
学科試験の携行品:法令集の持ち込みOK
学科試験当日の携行品が指定されています。1は必ず持っていくもの、2は持ち込みが可能なので選択できます。3は持ち込んではいけないものですのでご注意ください。
- 必ず携行するもの:受験票、黒鉛筆、消しゴム
- 携行できるもの:法令集、鉛筆ケズリ
- 携行できないもの:電卓、計算尺、電動消しゴムなど
詳細はこちら:試験の携行品
法令集の持ち込みができます
学科IIの建築法規の特徴として、法令集の持ち込みと使用が可能です。それを知った時は法規は楽勝かも!?と喜びましたが、実際にやってみるとそう甘くはありませんでした。
持ち込みできる法令集には制限があります。見出しや簡単な書込みは大丈夫ですが、試験監督の方に取り上げられないようにする必要があります。
詳細はこちら:使用が認められる法令集<平成31年>
学科試験のまとめ
学科試験の概要は理解できたでしょうか。学科試験の勉強時間の目安は6ヶ月から1年、とても早い人で3ヶ月とも言われています。
問題を解き正解を導くのは、最初は困難で苦痛を伴います。
ですが二級建築士なら知っていて当然の知識ということでの試験問題です。ここを乗り越え(合格して)製図試験に進みましょう。
今までお伝えしてきた下記の4項目は理解できましたか? 疑問点があれば、このページに戻って復習してみてください。
STEP.3:学科試験の合格発表
受験者には合否の判定結果が通知されます。※不合格者には試験の成績も通知。
- 学科試験の合格発表:8月下旬ごろ<平成31年は8月27日(火)予定>
- 合格者の掲示:都道府県建築士会の事務所など
- 合格者の掲載:建築技術教育普及センターのホームページ
詳細はこちら:合格者の発表<平成31年>
STEP.4:設計製図の試験
この二次試験<設計製図>は他の試験と比べて非常に特殊です。課題から要求される内容を試験会場で設計し、製図板と平行定規を使用して製図していきます。
設計製図の課題について
製図の課題は毎年6月上旬に発表されます。課題の建築物の構造条件<木造か鉄筋コンクリート造または鉄骨造>が年度により変わります。
詳細はこちら:設計製図の課題詳細
設計製図試験の日時や内容
8月にあった学科試験の合格発表から、1ヶ月もたたずに製図試験が行われます。当日は15分間の注意事項説明の後、5時間にで製図用紙を仕上げていきます。下記は平成30年の内容です。
試験日 | 内容 | 時間帯 | 試験時間 |
---|---|---|---|
9月15日(日) | 注意事項の説明 | 10時45分〜11時 | 15分 |
設計製図の試験 | 11時 〜 16時 | 5時間 |
要求課題に対して、設計(エスキス)と製図(製図板や平行定規を使用)をしていきます。
時間内に製図用紙を、合格レベルまでに仕上げます。頭も体力も使いますので、終わった時の疲労度は凄まじいものがあります。
設計製図試験の携行品
製図試験当日の携行品が指定されています。製図板や平行定規、電卓の使用が認められているなど、本当に特殊です。
学科試験以上に持ち物には注意が必要です。忘れ物や仕様の勘違いは絶対にできません。
- 必ず携行するもの:受験票、黒鉛筆、消しゴム
- 携行できるもの:製図板、各種定規、コンパス、ハケ、電卓など
- 携行できないもの:ドラフター、ソロバン、電動消しゴムなど
設計製図の試験まとめ
製図試験の勉強時間の目安は3ヶ月から6ヶ月(早い人は1ヶ月)とも言われています。
製図という手書き作業が初めての人は、初期の製図には非常に時間がかかります。慣れの問題でもありますので、短期間で合格ラインの作図を書けるようにするのがゴールです。
製図試験についてお伝えしてきた下記の3項目は理解できましたか? 不明点があれば、このページに戻って復習してみてください。
STEP.5:設計製図試験の合格発表
いよいよ合格発表です。合格発表での番号があった時の喜びは、何ものにも代えがたいでしょう。あなたの努力が身を結んだ瞬間です。このステップを突破すれば、後は登録するだけです。
- 設計製図試験の合格発表:12月初旬ごろ<平成31年は12月5日(木)予定>
- 合格者の掲示:都道府県建築士会の事務所など
- 合格者の掲載:建築技術教育普及センターのホームページ
詳細はこちら:合格者の発表<平成31年>
試験問題や合否判定基準等の公表について
試験問題は<学科や製図試験を問わず>持ち帰ることができます。ただ途中で退出した場合は持ち帰ることができません。
また試験問題は試験日の翌日に、合格基準点や試験データ等は合格発表の際に公表されます。
詳細はこちら:試験問題及び合否判定基準等の公表
STEP.6:建築士免許の登録
二級建築士の合格後に免許を登録すれば二級建築士です。いよいよ二級建築士になるための最後のステップです。
免許登録の申請をするのは、合格した地域の建築士会です。建築技術教育普及センターでそのまま登録ではありません。試験と登録では管轄が違うようです。
詳細はこちら:各都道府県建築士会
二級建築士の資格取得に向けて
長い文章をここまでお読みいただき、本当にありがとうございます。ザックリとでも理解はできたでしょうか。冒頭でお伝えしたように大事なのは全体感です。少しづづでも良いので、全体感の理解とその精度を高めていきましょう。
試験を受けようとしているあなたへ
初学者の方や二級建築士になりたい人に向け短い時間で全体感が理解できるよう、要点を押さえたつもりですが、かなり長くなってしまいました。
二級建築士になるためにはどうしたらよいか?わからなくなったら、またこのWebサイトやページに戻って来ていただけたら幸いです。
試験を受けるか迷っているあなたへ
この資格取得にはかなりの準備と勉強が必要だというのがわかったと思います。でも二級建築士の試験は資格要件さえクリアすれば、国家試験として難易度は決して高くありません(断言!)たしかに試験の専門性は非常に高いです。でも試験課題とはいえ、手書きで製図するのは本当に楽しいです。
人が生活していく上で必要なことを「衣・食・住」といいますが、その一つである「住」を設計できる二級建築士という国家資格。あきらめるのは簡単ですが、少しでもチャンスがあるなら、ぜひチャレンジしてみてください。